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同じキーボードを2台買うのが合理的になる条件

キーボードを部屋から部屋へ運ぶのをやめて、同じものをもう1台置きました。2台目が合理的になる条件と、1台のままで足りる人の条件を分けて書きます。


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作業する場所を変えたときに、手元にキーボードがない。取りに戻ればいいだけの話です。距離にして十数歩。

僕はその十数歩を面倒がって、結局その場所では作業しなくなりました。

問題は移動そのものではなかったと思っています。取りに戻るかどうかを毎回考える、その判断が挟まることのほうが効いていました。

運ぶという行為は、時間より置き場所を奪う

キーボードを1台で使い回すとき、実際に発生する工程を分解するとこうなります。

  • いま使っている場所でケーブルを抜く
  • 持って移動する
  • 移動先でつなぎ直す
  • 元の場所に戻したくなったら、同じことをもう一度

一つひとつは数十秒です。合計しても数分に届きません。時間だけを見るなら、取るに足らない手間です。

ただ、この工程は「作業を始めよう」と思った直後に挟まります。集中に入る手前でこれが入ると、そのまま別のことを始めてしまう。面倒のコストは、かかった時間の長さよりも、どのタイミングで発生するかで決まるのだと思います。

そして厄介なのは、この手間が「キーボードを運ぶのが面倒だ」という形では意識に上がってこないことです。表に出てくるのは「なんとなくその部屋では集中できない」という、場所のせいにした感想のほうでした。

2台目を置いてから変わったこと

僕は Mode Designs Envoy を2台持っています。1台はリビング、もう1台はベッド周辺です。スイッチは HMX Cloud、キーキャップは GMK で、打鍵感も打鍵音も2台とも自分の好みに寄せてあります。

変わったのは、作業量そのものより「作業を始めるまでの判断」でした。移動した先にすでに同じ入力環境があるので、続きを書くかどうかだけを考えればよくなります。運ぶかどうかの検討が、そもそも発生しません。

同じ製品を選んだことにも意味がありました。配列も打鍵感も同じなので、場所を移っても指が迷いません。安いキーボードを2台目に足す選択肢もありましたが、それだと移動のたびに指が慣れ直すことになり、消したかった面倒が別の形で残ります。

導入そのものは重い作業ではありません。開封してケーブルをつなげば、その日から使えます。キーマップを1台目と揃える手間だけは残りますが、設定を書き出して読み込ませれば済む範囲でした。

2台目が「過剰」になる境界線

ここからは、2台目が放置される側の話です。

同じ機材を2つ持つ判断は、「持っていればいつでも使える」というオプションの価値を、実際に使う頻度より高く見積もりがちになります。僕自身、高性能な機材を持っていても、スペックが高いという理由だけでは常用しないことを何度か経験しています。

2台目が使われなくなるのは、だいたい次のような場合です。

  • 2つ目の置き場所が、そもそも週に何度も座らない場所である
  • 移動先での作業が、キーボードを打つ作業ではない(動画を見る、資料を読むだけ、など)
  • ノートPCを持ち運んでいて、その内蔵キーボードで済んでいる

2つ目の置き場所が「たまに使うかもしれない場所」の段階なら、2台目はまだ早いと思います。すでに毎日座っていて、そのたびにキーボードの不在で手が止まっている、という順番でないと、置いても放置されます。

費用と、消える面倒を見比べる

Envoy のような自作寄りのキーボードは、本体・スイッチ・キーキャップを別々に買うため、合計金額は構成によって変わります。価格は流通状況で動くので、購入前に実物の表示価格を確認してください(価格: 要確認)。

判断の材料としては、金額そのものより次の見方が使えると思っています。2台目を置く場所で、これから何年その作業を続けるのか。その期間、移動のたびに発生していた判断が消えることに、その金額を払う価値があるか。

半年後に部屋の使い方が変わりそうなら、後述の安い代替から試すほうが損は小さいはずです。

出口も先に決めておく

2台目は、いらなくなったときに手放しやすい機材でもあります。人気のあるスイッチやキーキャップの構成なら、中古でも引き取り手は見つかります。

ただし、売却は「売れるかどうか」より「出品作業に手をつけられるかどうか」で止まります。僕はいまも、買い替えで浮いた AirPods Pro 2 を、メルカリに出そうと思ったまま出品できずに持っています。手放す前提で買うなら、箱と付属品は残しておくほうがいいです。

向いてない人

  • 作業場所が実質1か所しかない人。この記事で扱う面倒は発生していません
  • 移動先での作業がキーボード中心ではない人
  • ノートPC1台で場所を移りながら作業していて、内蔵キーボードに不満がない人
  • キーボードの打鍵感にこだわりがなく、配列が変わっても手が迷わない人。安い2台目で足ります

買わない選択肢: 今のままで十分な場合

2台目を買う前に、先に試せることがあります。

  • 運ぶ手間を減らす。ケーブルを両方の場所に置いておく、あるいは無線接続にして抜き差しをなくす
  • 安い2台目から始める。移動先での作業量が読めないうちは、こちらのほうが判断材料になります
  • 移動先での作業をやめる。作業場所を1か所に寄せてしまうのも、面倒の減らし方の一つです

3つ目は消極的に見えますが、実際にはこれで解決する人がいると思います。場所を増やしたいのか、いまの場所で集中したいのかは、機材を足す前に決めておくほうがいいです。

まとめ

同じキーボードを2台買う判断は、キーボードの性能の話ではなく、置き場所の数の話です。

すでに毎日座っている場所が2つあって、そのたびに入力環境の不在で手が止まっているなら、2台目は検討する価値があります。そうでないなら、2つ目の場所に毎日座る習慣ができるまで様子見でいいと思います。

僕の場合は、機材の重複を減らすことより、どの場所でもすぐに作業を始められることのほうが優先度が高かった、というだけの話でもあります。そこの優先順位は人によって違うはずです。


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